第三章 - 6/7

 服を焦がしながらドアを蹴破った翼と匠の二人は、ぐったりした男を引きずり出している最中に発砲音を聞いた。
「翼!! さっきの音、秋山たちの方じゃねえだろうな!?」
「知るか! とにかく急いで出るぞ!!」
 男を引っ張り出し、消火器で火を消す。なんとか消化したあと、ぐったりして転がっている男に早口で告げた。
「お前! 逃げるなよ! すぐ警察来るからな! おとなしく捕まっとけ!!」

「山下くん!!」
 警察が到着したようだ。救急車と消防車も一緒にいる。もちろん神宮と秋山もいる。
「あっちで火事があって、ひとり男が転がってるんでそいつ捕まえてください! 俺のこと刺したやつです!!」
「なんだって!」
「あと、あっちでなんか音が聞こえたんだ! 早く行かないと!!」
 焼けた部屋と男は他の警察官に任せ、二人は神宮と秋山を連れて、音がした方へ向かった。

 ドアを開けた瞬間、透はがくりと膝を落としていた。
「透さん!!」
 みちるは透に駆け寄り、よしみは透を撃った男に歩み寄る。
 透は撃たれた腹部を押さえるが、指の間から血が滴り落ちていく。
「透さん……! 血が……!」
 みちるは常備している包帯で透の傷口をきつく結んだ。
「みちる……ちゃん……、ごめんね……危ないことに……巻き込んじゃって……怖かったでしょ……?」
 みちるはブンブンと首を横に振る。
「そんなことないよ……! 危ないことなんて全然なかった! ……それに……私たちがもう少し早かったら、透さん、撃たれなかったかもしれないのに……!」
「それは……違うよ……あいつは……遅かれ早かれ……僕を撃った……」
 そう言って、透は男を見つめる。よしみに拳銃を払い落とされ、
 丸腰になった男は慌てた様子でよしみになにか弁解していた。
 そこに翼と匠が大勢の警察官を連れて到着した。
 翼、匠と神宮、秋山は撃たれた透に駆け寄り、その他の警官が男に向かう。
「お前ら、大丈夫か!?」
 警戒して構えていた神宮の手から拳銃が奪い取られる。
「えっ!?」
「よしみちゃん! 伏せて!!」
 よく響く透の声。気づくと透は立ち上がり、男に向けて発砲していた。弾は男の腕に当たる。男の手に握られていたナイフは地面に落ちた。
 透はそのまま力尽き、拳銃を落として倒れる。みちるがなんとか抱き止めたが、透は気を失っていた。
「透さん! 透さん!!」
「すぐに病院に運ぼう! 君は彼に付き添ってあげるんだ」
 大勢の警察と救急隊員が組織のメンバーと負傷者、そして重傷の透を運んでいく。
 神宮に促され、みちるは透に付き添うことになった。
「説明は俺たちがしとくから、みちるは透さんについててやってくれよ」
「翼くん……、うん、ありがとう!」
 みちるは一足先に廃工場を離れる。やがて、この場に残ったのは翼、匠、よしみと神宮と秋山だけになった。