太陽の日差しが照りつける中、翼はのろのろと道を歩いていた。病院を堂々と抜け出してから四十五分、時刻は十一時三十分になろうとしていた。
「あうぅ……暑い……。このままじゃ熱中症じゃあぁ……」
翼は、病院を出てからタクシーを捕まえようとした。ところが、財布の中には二百円。そして、現在に至るわけだ。
「ちくしょー……俺のバカ……。千円札くらいケチらずに持っときゃよかったし。あー、もうっ」
ぶつぶつと悪態をついていると児童公園の中に木陰を発見した。
「おっ! 涼しげな日陰発見! あそこで一休みしよっと」
翼は早速その場所に移動すると腰を下ろした。
「はあー。よかった。とりあえずこれでなんとか……ぐー」
そこでうとうと昼寝していると、いきなり襟首を掴まれた。
「……おい。お前、こんなところで何してる」
「……んー? ひるね……」
翼は次の瞬間、自分の立たされている状況に気がついた。
「……はっ! これはいったいどういうこっちゃ!?」
目の前には、腕っぷしの強そうな男が三人立っていた。
「ここは俺らの縄張りだぞ! ここにいるんだったらきっちりおとし前つけなきゃなあ!」
(い、いつの時代の不良だよ……)
「俺は金持ちじゃあないぞ! むしろ貧しい!」
「なら、方法はあと一つしかないなあ?」
男たちは指の関節をパキパキ鳴らし始めた。
「えっ!? ちょっと! 暴力は勘弁して! お願いだから!!」
「う……やっぱ、三対一はちょっと……きついわ……」
翼は先ほどまで立っていた場所に倒れていた。三人の男は既にいなくなっている。
「あそこで殴ってなきゃ、ちょっとは違っただろうな……」
翼はリンチされることだけは避けるべく、思わず自分を捕まえていたやつを殴ってしまった。
そこから大乱闘へ発展してしまった。
「ははっ……。バカか俺……さっきので傷開いたかも……マジでやべぇ……動けねえし……。ああ……頼む……誰かここで倒れている俺を早く発見してくれ……」
翼はそう願うとぎゅっと目を閉じた。
